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こう云う理由から私はまず読者諸君の前にチャーリントンの、一人歩きの自転車乗り嬢であった、ヴァイオレット・スミス嬢の事件を、持ち出そうと思う。 この事件は我々の探査が、意外から意外へと外(そ)れて、更に全く思いももうけなか った、悲劇のクライマックスを示した、全く意想外の興味ある事件だったもので ある。私の友人の有名を成さしめた事柄については、毎度お断りする通り、 詳細に発表することは許されない事情にあるが、しかし私の浩翰(こうかん)な犯罪秘記の中(うち) でも、 こうした小さな物語を書く上から云って、この事件は一段と際立った出色の点があると思われるのである。 一八九五年の私の記録を開いてみると、私たちが初めて、ヴァイオレット・ス