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靴の底の横の方が、ベタルのために軽くささくれ立っていた。 「そうです、私は御覧の通り自転車に乗りますが、実は私が今夜お訪ねしましたのも、これに関連があるのでございますが、――」 私の友人はその若い婦人の、手袋を取っていた手をとって、あたかも科学者が標本でも観察する時のように、冷静に注意深く眺めた。 「いや、失礼はお許し下さい。どうもこれは私の商売柄なんで仕方がないのです」 彼はその手を放しながら云った。 「私は今もう少しであなたをタイプライターを打ってる人と間違えるところで したが、もちろんあなたは、音楽家ですな。で、ワトソン君指先が箆(へら)のように平 べったくなっているだろう、――これがこの二つの職業には、共通の特徴なんだが、しかしこちらは表情に、霊感的なところがある」